たまにはまともなせんべいを食べたくなって、喜久屋で二種類買ってきた。それなりにおいしい。七味せんべいは、たしかに表面はたっぷりと七味で覆われているのだが、生地には練り込まれていないので、辛党にはたいしたことがないと思う。
数年前に惜しくも店を畳んでしまった近所のせんべい屋は、生地の中まで辛子が入った七味せんべいを作っていて、とてもおいしかった。そこの胡麻せんべいも、胡麻をものすごくふんだんに使っていて、あまり入れすぎると焼いたときに割れてしまうから加減が難しいんだとおやじさんが言っていたのを思い出す。あれは最高においしかったなあ。本当に惜しまれた。ああいう人や店が、いいものを作ってそれなりのお客さんを取れば暮らしていける、そんな社会になってほしいと願う。