楽しみにしていたVäsenライブ。小さい会場なのに、人がたくさん来ていた。けっこう年配の人もいて、この手の音楽のライブらしく、みなさんお行儀がいい感じで快適。
最初のワンドリンクで赤ワインを飲んだらけっこううまかったから、適当に生ビール、X.Y.Z.なども順に注文して飲んだ。ちょうど真上にあった照明に照らされ、会場の熱気もあって暑かったのだ。マンダラめ、売上アップ光線を仕込みやがって。それに何でも一杯800円はぼったくりだろ!ヽ(`д´)ノ
肝心の音楽は、とにかく楽しかった。ウロフの操るニッケルハルパは鍵盤の付いた弓弾きの弦楽器で、弾くのを見ているだけでおもしろい。パートとしては高音だが、バイオリンのような金属的な響きはなく、流麗な部分でも暖かみがある。いい楽器だ。ミカエルが弾くのはヴィオラで、ヴァイオリンやフィドルよりも音域が低く、ニッケルハルパと見事に住み分けているのが印象的だった。二回目のアンコールで披露したソロはかっこよかった。(曲によってはフィドルも弾いた) そしてローゲルの12弦ギターはすごい。これひとつで強力にリズムセクションをこなし、繊細な導入部を奏で、また曲によっては弦の上部と下部で別パートを同時に弾いたり、ギターに対するイメージを覆すような使い方だった。そして、一曲ごとにチューニングしているのも目を弾いた。”This is a tuning tune.” (「これはチューニング用の曲です」)なんて言って演奏した曲もあったし、チューニングもこのパフォーマンスの一部のようだった。
一寸の隙もない演奏もさることながら、感心したのが一曲一曲に添えられた想い、エピソードだった。近所のおじさんの還暦祝いに作ったとか、友達の結婚祝いに書いたとか、そういうのがすらすらと出てくる。伝統的な生活に根差した音楽は、まさに北欧の大国となったスウェーデンの底辺に今も流れる文化の片鱗なのだろう。何曲か、1866年に何かの建物の建造を記念して書かれたポルスカ、など、19世紀に書かれたという曲を演ったが、そういう音楽文化をうらやましく思った。日本の「アーティスト」たちも、それを聴く我々も、自分らの歴史や文化ということについて省みないといけないな。 せっかく歴史や伝統を持つのだから、日本も技術立国だけでなく文化立国となれたらいいと、つい欲張りたくなるね。
そして、このライブに関しては、思った以上に予習は不要だった。ライブで曲を覚えてしまったよ。彼らのしゃべりもおもしろかったね。IRCやメールで北欧人のウィットに触れる機会は多いが、生の彼らもその印象そのままに、愉快な人達だった。帰り際には買ったCDにサインをしてもらい、一言二言交わして大満足。いやー、いいライブでエネルギーをもらったよ!
名トーク集。演奏者も客も終始笑みが絶えず、和やかでした。
- R:”We appreciate coming from north.. It’s pretty um.. WARM.”
(一曲終わってすごい汗をぬぐいながら) R:「北からはるばるやってきてよかったです。とても…暖かい!」
- U:”I tend to cut trees when I get angry. There is no problem with it because we have a LOT of trees in our country.”
(曲のエピソード紹介で) U:「腹が立つことがあると、木を切るんだ。いくら切っても平気だよ、スウェーデンにはたくさん木があるからね」
- R:”We hope we’ll be back here and play again…” U:”TOMORROW!” R:”Oh yes, tomorrow! … See you THEN!”
(終わりのあいさつで) R:「いつかまた日本に来て演奏したいと思います」 U:「明日やるじゃん」 R:「ああそうだ。明日ね!じゃあまた明日!」
- R:”Don’t you have any homes? That’s GOOD!”
(二回目のアンコールに答えて) R:「君ら帰るおうちはないのかい。それはよかった!」