詰将棋の原則について (2)

投稿者: | 2004年8月18日

 次の詰将棋を見てください。(左に「v」がついているのは玉方の駒です)

 この詰将棋の「作意」——作者の意図した手順のこと——は「33飛成、同馬、14金打」の3手詰です。これを例に玉方の「最善」について考えてみましょう。

 先手の33飛成に対し、同馬と取る以外に23に合駒をする手があります。たとえば23金と打つ手はどうでしょうか。対する攻方は、14金打と打てば玉を詰ますことができます。それでは、「33飛成、23金、14金打」も正解でしょうか?——答えはいいえです。攻方には14金と打たずに、15の金で歩を取って24金とする駒余りの詰まし方があるからです。玉方が23に合駒をするのは攻方に同手数ながら駒余りの詰みを許すことになり、(玉方が)最善を尽くしていないことになります。よって不正解。攻方に持駒の金の使用を強いる33同馬こそが(玉方にとっての)最善であり、正しい回答です。

 ただし、攻方には最善という概念はありません。それを逆用すると、ちょっとひねくれた手順ですが、「33飛不成、23合、14金打」でも正解となるのです。つまり、攻方はどう詰まそうと勝手だし、成らなくても詰むからと33飛不成と指します。対する玉方は、飛車が生だと先ほどの24金の駒余り手順は成立しないため、23に合駒をしてもやはり最善となるのです。これも、小さいですが、「キズ」の一例です。

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