詰将棋の原則について (1)

投稿者: | 2004年8月18日

 詰将棋では、攻方、玉方の双方が最善を尽くすことと定められていますが、その「最善」の基準がわかりにくかったり、許容範囲にぶれがあったりします。

 専門誌で一般的に受け入れられている最善の基準は次の通りです。(すみません、何度か微妙に書き直しました)

  • 玉方は、攻方が最短手数での詰みを目指した場合でもできるだけ長い手数が掛かるように応ずる。同じ最短手数で詰まされる応手が二通り以上ある場合は、攻方に駒余りとされない手を選択する。(できるだけ延命しつつ、攻方に駒を余らせない)

 実はこれだけです。攻方には最善という概念も縛りもありません。攻方は、玉方の応手に関わらず詰むという限りにおいては、どのように指してもいいのです。普通の指し将棋と同じです。攻方の最善というのは玉方から見た概念で、想定される最悪の手順とでも言えばいいでしょうか。

 頑張らないといけないのは玉方です。玉方は、攻方がどうやっても手数が長く掛かるよう、同手数なら駒が余らない詰まし方しかないよう、応じる義務があります。

 玉方が最善を尽くした場合でも攻方に複数の詰まし方がある場合は、どれを回答しても正解です。程度に応じて「余詰」あるいは「キズ」「非限定」などと呼ばれ、作品の欠陥として扱われます。成っても成らなくても詰む、あるいは飛角香などを遠くから打っても近くから打っても詰む、などは不問に付されることが多いですが、まったく異なる詰まし方がある場合は「余詰」の不完全作となります。

 なお、棋力向上を目的とした練習用の詰将棋は、考えて解くこと自体が目的なので、あまりキズや余詰にはうるさくありません。一方、芸術作品としての詰将棋では、解く問題というだけではなく評価の対象なので、特に短い手数の作品ではキズに厳しくなる傾向があります。

 慣れないと難しいところですが、あとで例を挙げて説明します。まあ、解説しているサイトはよそにもあると思いますが、読者にとっては無駄にはならないでしょう。

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