とん金とばあちゃんの思い出

投稿者: | 2004年8月9日

 夜は、子供の頃を思い出して「とん金」へ。小さい頃、2kmくらい離れた町に住んでいて、西荻のばあちゃんの家に遊びに行くついでに、よくこうして外でとんかつを食べたっけなあ。

 南口を出てすぐ右手、角の階段を降りて店に入る。客は誰もいないが、これで大丈夫なのかな…。ロースカツとビールを注文する。ヒレカツよりロースカツの方が好きなんだ。

おやじ「お客さん、ビールはアサヒとサッ…」 俺「…ポロで!」

 漬物を肴に、ビールを飲む。ばあちゃんのあのぬか漬とは雲泥の差だなあ…。味噌汁が余ったり——そうそう、ばあちゃんは遊びにいくと張り切ってそばを打ってくれた——そばつゆが残ったりすると、すかさずぬか床に入れてかき混ぜる。どんな野菜も、あの魔法のぬか床に入れば、最高の漬物になった。

 もしばあちゃんが、ガンを患うことなくあと5年、元気でいたら、あのぬか漬をつまみに、こうしてビールで乾杯できただろう。やさしいが厳しかったばあちゃんの、自慢の孫になるのは大変だけど、今日からまたがんばるよ。今夜は、ばあちゃんと乾杯だ。

 とんかつが揚がった。とんかつには、俺なりの食べ方がある。上から片面だけソースをかけたら、食べるときはソースのかかった面を下にしてから、上の面にからしをつけて口に運ぶのだ。そうすれば、ソースの味を舌で、からしの風味を鼻で味わうことができる。寿司と同じ要領だ。ソースの面をわざわざ上にしたり、からしを直接舌に乗せたりと、無粋なことをしてはいけない。

 いろいろなことを考えながらゆっくり食べたら、思いのほかの満腹感を得た。帰っておいしいお茶でもいれよう。

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