- 笠井潔「バイバイ、エンジェル」(創元推理文庫)
何日か前に読み終えたが、痛快、痛烈。長文の論理展開にも無駄はなく勢いがあり、読んでいて苦にならない。現象学的本質直感によって事件の謎を鮮やかに解き明かし、「観念の悪」を痛烈に批判する。最終盤の真犯人とカケルの対決はすばらしいね。
ほんの偶然だが、最近カミュやサルトルを家の本棚でよく立ち読みしているので、カケルの批判がかっちりと心にはまりこんだ。
これはもう、続編を読まずにはいられないな。そしてシモーヌ・ヴェイユも読まなければ…。
- 笠井潔「熾天使の夏」(講談社文庫)
西荻の本屋を探したが、カケルシリーズはこれしかなかった。でも今日の俺にはおあつらえ向きだ。
完璧な自殺それが問題だ——。「存在の革命」って、若いときは(たぶん男なら)誰しも考えるよな。そのあらわれが破壊への衝動であったり、破滅的な思想であったり、観念への傾倒であったり、性的な欲望であったり、飛翔のあくなき欲求であったり。青臭さ、存在の危うさ、漠然とした不安、迷い、脆さ。克明に描かれる若きカケルの思索模様。十代のときに読みたかった気もするが、あれから十年を経てこうして今読むのも悪くない。
ここからどう展開するのか楽しみ…。