- 東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」講談社文庫
これはいいなあ。気に入った。プログレ好きの自分としては、小説においてもディテールと構成を重視するので、アマゾンのカスタマーレビューで槍玉に上げられている「動機の弱さ」とか「ストーリーが楽しめない」という意見は、音楽に当てはめれば「そのリフの変拍子には必然性がない」とか「メロディがキャッチーじゃない」みたいなものでまったく気にならない。この仕組みをコンパクトに実現するために数人にまで絞り込まれた登場人物による腹の探り合い、主人公と加賀刑事の真剣のやりとり、細かい伏線など、小説でしか描けないものが巧妙に実現されている。すばらしい。