頭の中を、いつまであったんだ、なんで落としたんだ、どこで落としたんだ、という問いかけがぐるぐるして、気づくと自転車の前輪が発電機にこすれる嫌な音がして、どこがこすれてるんだ、とぼーっとカゴの下あたりを見ていたら、前の方で車のクラクションが鳴って、ボンネットにキスをした。
運転手は親切なおばさんで、「もっと早く鳴らしてあげればよかったのにごめんなさい、大丈夫?」なんて言ってくれるものだから、ひたすら恐縮し、「大丈夫です」「すみません」「車は大丈夫ですか」を連発するしかなかった。連絡先として名刺を渡そうと思ったら、名刺入れは失くしちまったよチクショウ!