13日にやったNHKの「棋士・羽生善治 – プロフェッショナル 仕事の流儀」は残念なことに見逃してしまったのだが、夕方これの再放送をやっていたので視聴。

 ストーリー的には、竜王戦1組で2回戦(4/7)で敗れた森内に棋聖戦挑決準決勝(4/15)で雪辱とか、朝日オープンの五番勝負第二局(4/19)で藤井に敗れたものの第四局(5/15)に勝って防衛とか、できすぎな感じがした。対局内容に関するナレーションはかなりずれていた印象があるが、一般向けの番組だからこんなものだろう。

 まあ、それらはサイドストーリーであって、メインとなる羽生の言葉を中心に組み立てる構成はよかった。彼の著書、「決断力」のドラマ化、と言ったら言い過ぎかもしれないが、短い時間の中でうまく彼の考え方のエッセンスを引き出し、ドラマティックに味付けできたのは、立派なプロの仕事と言えるだろう。

 ところで、同書がビジネス書っぽく仕立てられているのは、編集の手によるものだと思う。数多現れる比喩表現はあくまで理解を助ける調味料であって、それでわかった気になって応用を考えるより、純粋な探求のプロセスを自分の仕事なり生活の中で追体験する方がずっとためになる。

 対談の中で、扇子をパチパチ鳴らす理由を問われ、「考え続けるというのはイライラすることなので」と答えていたのが印象に残った。言われてみれば、自分も読みどころでは扇子をいじっていないとイライラする。将棋もあるレベル以上になれば自分のやりたい手を一方的に指すことなどできず、損をしないよう、悪くならないよう、お互いに手を殺し合い、間合いを計る時間が長くなる。それでも、ところどころでリスクを冒して大きな決断をしなくてはならない。真剣勝負とはシビアなものです。


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