たとえばOSや言語などの開発に関わったことのある人間ならわかると思うが、ある機能を潜在的な意味で「やれば実現できる」ことと、すぐに使える状態で「備えている」ことの間には大きな隔たりがある。
さまざまな制約や事情が許さない場合もあるが、原則的に、三度、四度と使い回したことのあるパラグラフや、短くても一見して意味の取りづらいフレーズは、抽象化した上でよい名前を付けるべきである。ピコピコポンを第一話から見ていた者ならすぐに分かることだが、名前を知り、あるいは付けることで、初めて見えてくる新たな地平というものがある。
物事を学習する過程というのは、新しい概念を受け入れ、さらに上位の概念を理解するための基本語彙とすることの繰り返しである。小手先の機転に固執したり、迂遠な表現をイディオムとしてありがたがったり、毎度毎度その場の曲芸を演じるばかりでは進歩がない。
プログラミングにおけるイディオムとかtipsとかHOW-TOとかを集めるひまがあったら、その中でめぼしいものをさっさと言語化(機能化)して一言で言えるようにすりゃいいとむかーしから思っていて、実際にそれに沿って行動してきたつもりだが、そんなことをわざわざ言う機会はあまりないなと執筆をしながら思ったのでここに書き残しておく次第。