さて、ついに温かい料理が運ばれてきました。穴子とフォアグラのキャベツ包み。一目見て、ボリュームがすごい。きれいに二皿で出してきてくれるのでコソコソ取り分ける必要もなく、仲良く同じ料理を味わえます。アラカルトだけどコースみたい。
これにナイフを入れ、とろみのついたソースを絡めて口に運ぶわけです。うわ、穴子とフォアグラの境目がわからない!うまい!こう芳醇なうまみのパンチが内側から放たれたのでは、頬がだらしなく緩んでしまうのもしかたない。ソースも絶品。この菜っ葉はなんだろう。強すぎない個性が、とてもいいアクセントでした。
ここらで赤ワインも選ぼう。赤もよく悩みました。ソムリエに選択肢を挙げてもらった中から、最高のヴィンテージワインをチョイス。98 Clos Vougeot Daniel Rion。ああ、こんなおいしいワインをいただいてしまっていいのでしょうか。いいんです!
ブドウの味わい、タンニン、スパイシーさ、甘酸っぱさ、ワイルドさ、なめらかさ。調和とかそういうレベルではなくて、すべてがそれぞれに主張しながら、お互いに負けていないんだよね。この堂々たるヴィンテージには味蕾から脳天まですっかりやられました。何年に一回かでも、こんなワインを飲めたら幸せ者だ。
そして、料理も絶頂を迎えます。白子のガレット パイ包み レンズ豆のソース。いやあ、言葉もない。なんというすばらしい造形。パイとかタルトは底のところがあまり気に入らないことが多いんだけど、このガレットは文句なし。
サクサクのパイ生地の中には、とろっとした新鮮な白子がたっぷり。香ばしいガレットを添えて、レンズ豆のソースで召し上がれ。本当に感動した。
前菜二品だけで心底満足してしまったが、まだメインが二品。ゆっくりワインを楽しみましょう…。(つづく)